遠くに住んでいる親に介護が必要になっても、仕事を辞めて実家に帰るのは難しいもの。子供の学校は?家はどうする?夫婦の関係は?…などの問題を現実的に考えたうえで別居したまま介護を行える、遠距離介護という道を選ぶご家族もいます。

遠距離介護を選ぶメリットの1つは、常に側で介護するよりも肉体的、精神的ストレスが少なくてすむことです。ストレスが少ない分、会った時に優しい気持ちで、余裕を持って接することができます。介護の必要な家族と物理的な距離を取ることで悩みも軽減します。

2つめのメリットは、介護する側もされる側も転居する必要がないことです。仕事を辞める必要がなく、子供たちも転校せずにすみます。親の介護に直面する中高年にとって、仕事を辞めて再就職をするのは、かなりハードルの高いことです。特に、親が住んでいるのが地方であれば、これまでと同じ生活水準を保てる仕事を見つけるのは、なかなか困難かもしれません。遠距離介護なら、転職も再就職の心配もありません。もし、引っ越しするなら仕事だけでなく、生活環境がガラッと変わりますし、友人知人たちとも離れなければなりません。介護する側にとって、これは大きなストレスになります。

メリットの3つめは、介護保険サービスを利用しやすいことです。あまり知られていませんが、遠距離介護という生活状況を考慮されて、特養の入居優先順位が高めになる傾向があります。特養老人ホームは、入居待ちの方が多いので、少しでも早く入居できるなら大きなメリットになります。